老後貧乏とは何? 防ぐ方法や原因は?

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老後貧乏とは?

高齢になり仕事を引退した後に、年金と預貯金(金融資産)で生活が困窮することです。

現役のときは十分な収入があり生活に問題がなくても、老後は収入が減少するため、老後へのそなえを怠ると起こる可能性があります。
そして、近年ではよく老後貧乏という言葉を聞きます。

金融資産状況

50歳以上の世帯帯で金融資産状況を表にしています。
この表は、家計の金融行動に関する世論調査より抜粋して編集したものです。

ここでの金融資産は、預貯金や株式のような資産になるものを指しています。

単身世帯

50歳代60歳代70歳代
非保有38.3%33.3%26.7%
100万円未満11.2%8.5%5.8%
100〜200万円5.2%4.7%4.3%
200〜300万円2.7%2.8%4.1%
300〜400万円3.6%4.3%3.3%
400〜500万円3.8%2.4%2.5%
500〜700万円4.6%3.5%6.6%
700〜1000万円5.5%2.8%5.1%
1000〜1500万円4.9%6.6%8.6%
1500〜2000万円4.1%4.5%5.3%
2000〜3000万円4.4%8.0%8.2%
3000万円以上9.3%15.1%17.3%
無回答2.5%3.3%2.3%
平均1,391万円1,468万円1,529万円
中央値80万円210万円500万円

50歳代で約半数の世帯が金融資産100万円以下になっており、60歳代では約半数の世帯が金融資産300万円以下です。
70歳代を見ると500万円以下が約半数を占めています。

各世代で金融資産の平均値が世代が上がるごとに、約70万円増えていますが、退職金が支給される60歳代での上昇率が低く思えます。

中央値を見ると、50歳代と60歳代では2倍位上の差があり、退職金が支給されたことが大きな要因です。
60歳代と70歳代でも2倍以上の差ですが、年金生活に入り将来への不安を実感して、金融資産を残した結果と思われます。

二人以上世帯

50歳代60歳代70歳代
非保有27.4%21.0%19.2%
100万円未満9.1%5.9%5.6%
100〜200万円6.4%4.5%5.1%
200〜300万円3.8%4.3%4.3%
300〜400万円3.9%3.0%4.7%
400〜500万円3.8%1.9%2.5%
500〜700万円5.6%7.2%6.2%
700〜1000万円5.5%6.7%5.8%
1000〜1500万円8.9%6.8%10.2%
1500〜2000万円4.2%5.4%6.6%
2000〜3000万円5.4%9.5%7.4%
3000万円以上11.2%20.5%19.7%
無回答4.8%3.2%2.6%
平均1,147万円2,026万円1,757万円
中央値300万円700万円700万円

単身世帯と同じように各世帯ごとに見ていきます。

50歳代では約半数の世帯で金融資産400万円以下であり、60歳代と70歳代では約半数の世帯が金融資産700万円以下です。

平均値では60歳代が高く、70歳代では少し減っていますが、50歳代より多く金融資産があります。
単身世帯の増え続ける平均値と違い、70歳代で減っている点が特筆するところです。

中央値を見ると、50歳代より60歳代のほうが400万円増えていますが、単身世帯と同じで退職金の支給が要因です。
60歳代と70歳代では変化がありません。

単身世帯と二人以上世帯の比較

全ての世代で、二人以上世帯は単身世帯より500万円い以上の金融資産を所有している世帯が多く、非保有世帯も少ないです。
二人以上世帯の金融資産が多くなっている理由として、二人以上世帯は共働き世帯が多く、働き手が多くなっている分、単身世帯より金融資産が多くあります。

総世帯

50歳代60歳代70歳代
非保有30.3%24.6%21.6%
100万円未満9.6%6.6%5.7%
100〜200万円6.1%4.6%4.8%
200〜300万円3.5%3.9%4.3%
300〜400万円3.8%3.4%4.3%
400〜500万円3.8%2.0%2.5%
500〜700万円5.3%6.2%6.3%
700〜1000万円5.5%5.5%5.6%
1000〜1500万円7.8%6.8%9.7%
1500〜2000万円4.2%5.1%6.2%
2000〜3000万円5.1%9.1%7.6%
3000万円以上10.7%19.0%18.9%
無回答4.2%3.3%2.5%
平均1,212万円1,862万円1,683万円
中央値200万円530万円650万円

最後は、総世帯で見ていきます。

50歳代で約半数の世帯が金融資産300万円以下であり、60歳代と70歳代では約半数の世帯が金兪資産700万円以下です。

平均値と中央値は二人以上世帯に近くなる傾向にあり、総世帯で見るより、世帯別で見る方が良いような気がします。

老後貧乏に陥る理由

金融資産が多いからと言って老後貧乏に陥らないと限りません。
その逆もあり、金融資産が少ないから老後貧乏になるとも言えません。
ここでは、老後貧乏になる理由を探っていきます。

金融資産が少ない

「老後は年金と退職金で過ごせる」と言われていましたが、これから老後を迎える方は無理です。
仕事をしながら年金をもらっている間は良いですが、年金のみが収入になった際に、年金の足らずを金融資産で補う必要があり、足らずを補えないと老後の生活が厳しくなります。

生活水準が高い

現役時の生活水準が高ければ、金融資産を残しにくくなり、金融資産の保有額が少なくなります。
そのため、年金生活になると年金で足らずを補える金融資産が少なくなり、切り詰めた生活の老後になる可能性があるでしょう。
当然、金融資産を使うと減っていくので、資産が少なくなった際にあわてることになるかもしれません。

浪費癖がある

必要でないことにお金を遣うことです。
生活水準が高いと同じで、浪費癖があると金融資産を残しにくくなり、老後の蓄えが少なくなります。

ローンが残っている

主に住宅ローンです。
年金生活で住宅ローンを支払うと生活に回せる資金が少なくなり、住宅ローンを抱えた状態で年金生活に突入することは避けなければなりません。

老後貧乏を回避するには

老後貧乏に陥る理由の逆を行えば、老後貧乏は回避できます。

毎年誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」に65歳でもらえる年金の額が記載されているので、ねんきん定期便を確認しましょう。
載っている額が絶対もらえるわけではありませんが、指標にするにはよく、もらえる額がわかれば、現在の生活で必要になる支出と年金の額を比較することで、どの程度足らないかを調べることができます。
今の生活水準では、その足らない額を金融資産で補う必要があるでしょう。

現役のときに預貯金で現金を残し、できることなら株式投資等で増やしましょう。
金融資産を多く持っているだけで、心の安寧が保たれるメリットもあります。

生活水準を下げる

50代から少しづつ、生活水準を下げることで、年金生活に突入した際の生活費を抑えることができます。
生活水準を下げて余った分を、預貯金に回すことで金融資産を増やせるでしょう。

固定費を下げる

スマホ利用料を見直し、大手キャリア(dokomo・au・softbank)から格安SIMに乗りかえることで月々4千円以上の節約が見込まれます。

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家賃を見直す

都内や市内で賃貸を借りているなら、郊外に引っ越すことで月々の支払いを抑えることができます。
通勤時間が長くなる可能性もありますが、通勤時間にできることを探し時間を有効活用しましょう。

保険を見直す

生命保険の見直しを行い、いま加入している保証内容が本当に必要かを考え、不要な保証を止めましょう。
加入している保険の内容に重複がないかの確認もおこない、重複する部分を解約します。

不要なサブスクを解約する

加入してから放置のサブスクや、あまり使わないサブスクの解約を行いましょう。

浪費を減らす

その時の勢いで購入して、その後は使用頻度が少ないものや、購入したことを後悔するものが浪費になります。
「浪費=衝動買い」が多く、衝動買いを防ぐことができれば、浪費を減らせるでしょう。

購入する際に考える

その場で欲しいと思っても即購入するのではなく、一週間程度の時間を置いたのちに欲しいと思うものを購入しましょう。
多くのものは時間が経過すると購入欲がなくなります。

車の所持を考える

交通の利便性が良いところに住んでいる場合はマイカーを手放し、必要なときだけカーシェアを利用すれば年間30万円以上の維持費が浮きます。
車を所持する際は、維持費の安い車種を選ぶのも手段の一つです。

ローンを完済する

70歳以降に返済を行うようなローンを組まず、現役で完済できるローンを組みましょう。
できることなら、ローンを組まないほうが理想的です。

投資を行う

銀行金利は物価上昇より低く、銀行に預けているだけで、お金の価値は下がっていきます。
お金の価値を維持するには株式のような投資を行う必要があり、長期の投資信託で年利5%以上を得ることができる商品が多いです。
ただ、投資はリスクがあるため、投資を行う前に投資についての知識が必要になります。

サイドビジネスを持つ

老後生活に入るまでに、月数万でも自分の力のみで稼げるサイドビジネスを持つことで、年金の足らずを補うことができます。
サイドビジネスをもっていると、金融資産の減少ペースを遅くできるでしょう。

まとめ

老後生活に入るまでに生活水準を下げことが大事で、生活水準が低ければ金融資産が少なくても、老後貧乏に陥らない可能性があります。
できることなら、老後生活までに金融資産を残し、老後に備えましょう。
現役で働ける間にローンの完済を行い、生活水準を下げるようにして、支出を抑えることで老後貧乏は回避できます。
サイドビジネスや投資を行えれば理想ですがリスクがあるため、できるなら行いましょう。

老貧乏になると、生きるために死ぬまで働く地獄が続く可能性があり、遅くても50歳代中盤から老後に向けて備える必要があります。

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