全ての人にやってくる老後生活に、何が必要だと思いますか?
人それぞれ価値観の違いで色々あると思いますが、絶対に必要なものが「お金」です。
労働収入が得られなくなって、年金も少なければ生活の維持ができません。
「生活保護があるだろう」と言われるかも知れませんが、簡単に受給できるものではなく、生活保護制度自体が今後かわっていくかもしれません。
ここでは老後に必要なものについて解説しています。
お金
先にも書きましたがお金は必須です。
以前は年金と退職金を取り崩していけば老後は安泰と言われていましたが、現在は好条件に恵まれていない限り厳しいです。
お金がないと最悪の場合は、生きるために死ぬまで働くことになるかも知れません。
年金
2002年4月より60歳から満額もらえていた年金を、生年月日によって年金受給開始年齢が変わり、下記の表に詳しく記しています。
支給開始年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
60歳 | 〜1953年4月1日 | 〜1958年4月1日 |
61歳 | 1953年4月2日〜1955年4月1日 | 1958年4月2日〜1960年4月1日 |
62歳 | 1955年4月2日〜1957年4月1日 | 1960年4月2日〜1962年4月1日 |
63歳 | 1957年4月2日〜1959年4月1日 | 1962年4月2日〜1964年4月1日 |
64歳 | 1959年4月2日〜1961年4月1日 | 1964年4月2日〜1966年4月1日 |
65歳 | 1961年4月2日〜 | 1966年4月2日〜 |
このように誕生日と性別によって年金開始受給日が決まっていますが、この表に該当する人が少なくなっているため、一般的には年金受給開始は65歳と言われるようになったのでしょう。
支給開始年齢 | 厚生年金 | 国民年金 |
---|---|---|
60歳〜64歳 | 74,688 | 43,094 |
65歳〜69歳 | 144,322 | 57,829 |
70歳〜74歳 | 142,779 | 57,084 |
75歳〜79歳 | 146,092 | 56,205 |
80歳〜84歳 | 154,860 | 56,139 |
85歳〜89歳 | 159,957 | 56,044 |
90歳〜 | 158,753 | 51,974 |
2022年の一ヶ月の平均年金受給額が上の表です。
この金額から国民年金は少なく、厚生年金が多いことがわかります。
65歳以上で受給すると国民年金のみでは生活が苦しいと思われ、他の収入や預貯金が必要になるでしょう。
一方の厚生年金は、年金だけで何とかなりそうな感じに見えますが、突発的な出費があったときに困る可能性があります。
マクロ経済スライドを導入している年金は、賃金や物価が変動すると年金の支給額も変動する仕組みです。
物価が上昇して年金受給額が増えても、物価上昇に年金受給額がついていくことはできず、金融資産と労働収入がない状態で、年金のみでギリギリの生活を送っていると、いずれは年金生活が破綻することになるでしょう。
退職金
現在は退職金の支給額が減ってきており、退職金制度自体を廃止する企業も珍しくありません。
企業規模 | 退職金制度がある企業 |
---|---|
1000人以上 | 90.1% |
300〜999人 | 88.8% |
100〜299人 | 84.7% |
30〜99人 | 70.1% |
全体 | 74.9% |
上記の表は2023年の統計を元に作成した、従業員数に対する退職金制度のある会社の割合です。
従業員数が少なくなるにつれ、退職金制度のない企業が増えています。
30人以上の規模でみると多いように見えますが、29人以下の企業については50%を切っており、町工場規模になると退職金はないものと考えても良いでしょう。
退職金支給額は、下記表のとおりです。
年、退職事由 | 大学・大学院卒 | 高校卒 | 高校卒 |
---|---|---|---|
(管理・事務・技術職) | (管理・事務・技術職) | (現業職) | |
定年 | 1,896万円 | 1,682万円 | 1,183万円 |
会社都合 | 1,738万円 | 1,385万円 | 737万円 |
自己都合 | 1,441万円 | 1,280万円 | 921万円 |
早期優遇 | 2,266万円 | 2,432万円 | 2,146万円 |
こちらも2023年のデーターを元に作成しており、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者を対象にしています。
会社都合の高卒でも737万円の受給があり、受給額が多くあるようにみえますが、この統計に退職金制度がない企業は含まれていません。
平均値のため、大手が金額を押し上げてており、中央値で考えると会社都合の高卒でも100万円を切っていると思われます。
退職金制度を採用する企業が減り、退職金も少なければ退職金を崩しながら老後を乗り切るということはできません。
年収が高い企業は退職金も多くあり、年収が高いと支払った年金も多くなるため、年金受給額も多くなります。

預金
老後のために、銀行や郵便局に現金を預けておけば問題ないと考えている方は多いのではないでしょうか?
日銀の金融政策が緩和されたことにより、0.01%の預金金利がなかった時代から、今では1%の金利を付ける銀行もあります。
預金金利が上昇したことで銀行に預けることが正解のように思えるようになりましたが、2024年の日本のインフレ率は2〜3.5%です。
インフレ率が高くなってきており、銀行にお金を預けてもインフレに対抗できる利息はありません。
そのため、銀行に預けていれば元本保証で額面は減りませんが、物価が上昇して商品が値上げするとお金の価値は年々下がっていきます。
金愉教育を受けていない日本人は、銀行に預けるだけでお金の価値が下がる事実を知らない人が多いです。
2023年の総世帯金融資産保有額統計データー元に作成したものが下記の表です。
参考程度に載せておきます。
20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | |
---|---|---|---|---|---|---|
非保有 | 42.2% | 30.2% | 30.0% | 30.3% | 24.6% | 21.6% |
100万円未満 | 22.6% | 13.1% | 10.0% | 9.6% | 6.6% | 5.7% |
100〜200万円 | 10.7% | 8.6% | 8.1% | 6.1% | 4.6% | 4.8% |
200〜300万円 | 6.0% | 7.5% | 4.7% | 3.5% | 3.9% | 4.3% |
300〜400万円 | 4.9% | 5.8% | 5.2% | 3.8% | 3.4% | 4.3% |
400〜500万円 | 3.1% | 4.3% | 3.5% | 3.8% | 2.0% | 2.5% |
500〜700万円 | 4.0% | 6.3% | 6.8% | 5.3% | 6.2% | 6.3% |
700〜1000万円 | 2.2% | 4.6% | 6.1% | 5.5% | 5.5% | 5.6% |
1000〜1500万円 | 1.5% | 6.7% | 7.1% | 7.8% | 6.8% | 9.7% |
1500〜2000万円 | 0.0% | 2.1% | 3.2% | 4.2% | 5.1% | 6.2% |
2000〜3000万円 | 0.6% | 2.8% | 5.1% | 5.1% | 9.1% | 7.6% |
3000万円以上 | 0.1% | 4.0% | 6.0% | 10.7% | 19.0% | 18.9% |
無回答 | 2.1% | 4.0% | 4.3% | 4.2% | 3.3% | 2.5% |
平均 | 151万円 | 599万円 | 811万円 | 1,212万円 | 1,862万円 | 1,683万円 |
中央値 | 10万円 | 130万円 | 180万円 | 200万円 | 530万円 | 650万円 |


投資
投資にどのようなイメージを持っていますか?
多くの方が「投資=ギャンブル」「投資=怖い」といったような感じだと思います。
ギャンブルのように投資を行って破産することもできるため、怖いのイメージは間違っていません。
いろいろな種類の投資があり、正しい方法で投資を行うと老後資金を確保できます。
配当金や分配金を目当てで投資を行うと、平均で年利3〜5%は期待でるため、昨今のインフレに勝つことができるでしょう。
インフレに勝つことで、お金の価値を下げることなく、お金を増やすことができるできます。
2023年現在で、日本の投資人口が3000万人と言われており、2024年より新NISAが始まった関係で更に投資人口は増えていのではないでしょうか。
残念なことに「投資している人=儲かる」ではなく、多くの方が損しているのが現状です。
これは、正しい投資を行っていないからであり、正しい運用を行えば儲かる確率が高くなります。

健康
「元気があれば何でもできる!」とアントニオ猪木も言っていたように、健康でないとお金がいくらあっても使えません。
健康のためにできることは今から始める必要があり、老後から始めると遅いです。
「健康年齢」という言葉を聞いとことがありますか?
日常生活を介護なしで自分で送れる期間のことをさし、一人で何でもできる期間のことです。
下記の表は2022年のデーターですが、男女ともに平均で72歳までは健康寿命があります。
性別 | 健康寿命 | 平均寿命 | 差 |
---|---|---|---|
男性 | 約72.7歳 | 約81.5歳 | 約8.8年 |
女性 | 約75.4歳 | 約87.6歳 | 約12.2年 |
健康寿命と平均寿命の差が平均で男女ともに8年以上あり、この期間が介護を受けて生活する期間です。
若いときから健康的な生活をすることで、健康寿命を伸ばすことができ、健康寿命が伸びると介護を受ける期間が短くなります。
そのためには、健康に気をつける必要があり、健康維持は若いときからの積み重ねが大事です。
人間関係
人間は社交性の生き物であり、人との関係を断つと精神の安定性が崩れるそうです。
精神を安定するには良い人間関係を築く必要があり、外に目を向ける必要があります。
簡単に人間関係を作る方法は働くことです。
働くと嫌でも人と接することになり、社会とのつながりが生まれ、自分自身が世の中に必要とされている幸福感も得られます。
いつまでも働けるわけではなく、働けなくなったときのために、近所付き合いや何らかのサークルに入るのもよいでしょう。
住居と生活環境
人が生きていくために必要なものが住居です。
「年金生活=ホームレス」を実行する方はいないと思うので、住む場所の確保が必要になります。
年を取ると体が老いてくるため、自宅に手すりをつけたり、バリヤフリーにすると住みやすくなるでしょう。
老後は時間があるので、没頭できる趣味を今から持っておくのも、老後対策になります。
まとめ
老後にお金は絶対必要になるものですが、それ以外でも今から準備する必要があるものもあります。
特に健康状態を維持するのは難しく、若いときから健康には気をつけましょう。
お金に困ることなく、日々を楽しくすごしながら、寿命まで元気でいられることが理想の老後であり、理想を実現するには今から取り組む必要があります。
