【初心者向け】NISAとは?わかりやすく解説|新NISAの仕組み・始め方・メリットも紹介
「NISAってよく聞くけど、実際はよくわからない……」そんな風に感じていませんか?
テレビやSNSでもよく見かける「新NISA」という言葉ですが、何が新しくなったのか、どうやって始めればいいのかなど、初めての人にとっては分からないことだらけと思います。
この記事では、投資初心者の方にもわかりやすく「NISAとは何か?」を解説し、新NISAの仕組みやメリット・始め方までを丁寧に紹介します。
この記事を読めば、自分に合ったNISAの使い方が見えてくるはずです。
NISAとは?わかりやすく解説
NISAの意味と目的
NISA(ニーサ)とは、「少額投資非課税制度」のことで、投資で得た利益(配当や売却益)に対して税金がかからなくなる制度です。
通常、株式や投資信託で利益を出すと、20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば、その税金が一切かかりません。
仮に、株式投資で年間10万円の利益が出ると、通常では20,315円が税金として取られ、79,685円が手元に残ります。
これを、NISAで株式を購入すると、税金分で引かれる20,315円が免除されるため、利益の全てが手元に残ります。
なぜNISAが作られたの?
「老後の生活は公的年金だけでは足りない」という社会的な課題が背景にあり、個人が自分で資産を育てることを促すために、税制優遇制度としてNISAを導入しました。
NISAが導入された裏には、「年金制度が当てにならないから、国民で資産運用をするように」という意味があります。
新NISAとは?
2024年1月から始まった「新NISA」は、従来の「一般NISA」と「つみたてNISA」を統合・拡充した新制度になりました。
投資できる金額も増え、無期限の運用期間になり、旧NISAより使い勝手が格段に良くなったため、長期の資産形成に最適化されています。
NISAの2つの枠とは?仕組みを簡単に解説
つみたて投資枠(旧:つみたてNISA)
年間120万円まで生涯で600万円を、あらかじめ金融庁が認可した低コストで長期運用向きの商品(主に投資信託)のみが対象となる、積立専用の投資枠です。
金融庁が選んだ商品のため、運用側が儲けるような商品はありません。
成長投資枠(旧:一般NISA)
年間240万円まで生涯で1,200万円を、個別株・ETF・投資信託など幅広い商品に投資できます。
自由度が高く、積極的に運用したい人向けですが、積立投資枠の商品よりリスクが高い商品が大半です。
特に個別株は、知識がなくては利益を出すことが難しく、初心者は手を出さない方が無難でしょう。
併用は可能?
可能です。
新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が認められており、両方あわせて年間360万円まで非課税で運用できます。
資金に余裕がある場合は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を別々の枠として考えるか、全ての枠を「つみたて投資枠」として考えるかの考え方があります。
全て「つみたて投資枠」で考える際は、成長投資枠も「つみたて投資枠」と同じ商品を購入すると良いでしょう。
NISAとつみたてNISAの違いは?比較で理解
比較項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|
年間投資上限 | 120万円 | 240万円 |
対象商品 | 投資信託(長期向け) | 株式、ETF、投信など広範囲 |
投資スタイル | 毎月の積立 | 一括・自由な買付も可 |
非課税期間と限度額
非課税保有限度額
合計1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)まで非課税で運用でき、内部で運用益を再投資する投資信託(eMAXIS Slim米国株式(S&P500)やeMAXIS Slim全世界株オールカントリー)は、運用益の再投資時にNISA枠を使いません。
例えば、つみたて投資枠でeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を600万円購入した場合、つみたて投資枠を使い切っています。
5万円の運用益ができると、つみたて投資枠には605万円の資産があることになり、5万円は最大600万円の枠から出ますが、運用益は証券会社内部で再投資されるため、「内部で再投資」するぶんに関しては枠を消費しません。
そのため、内部で再投資する商品は、枠の全て手持ちの資金で使い切れる利点があります。
非課税期間
無期限(従来の5年や20年という制限を撤廃)になり、20代から始めて定年後の60代で取り崩すことができるようになりました。
そのため、長期運用が可能となり、20代から投資信託に積み立てると、取り崩す頃には投資した金額の3倍以上の利益になっている可能性も夢ではありません。
NISAのメリット・デメリット
メリット
利益が非課税になる
20.315%の税金がゼロになり、より多くの利益を得られます。
少額から始められる
毎月1,000円からでも積立が可能で、投資に耐性がない初心者には少額から始められるます。
ネットでは「月に30万円をNISAに入れている」や「年始に全額一括投資した」のような話を聞きますが、このようなことができる人は少数であり、耳を貸す必要はありません。
自分のペースで、無理のない余剰金を積み立てていくことが、投資を長く続けられる秘訣です。
投資初心者向けの制度が整っている
つみたて枠の商品は、金融庁の審査を通った商品のみであり、国が認めた安心な商品です。
金融庁が認めた商品の中から、さらに優れている商品を見つける必要性があり、特に「信託報酬」の率によっては、何十年後の利益に大きく影響がでます。
デメリット・注意点
損失が出ても損益通算ができない
複数の所得の「利益(所得)」と「損失」を相殺することを指し、日本の所得税制度において、課税所得を正しく計算するための重要な仕組みです。
例えば、NISAで個別株を購入して、その個別株を売った際の利益が、A株は+5,000円でB株はー10,000円とします。
この場合の利益は5,000円のマイナスになり、損益通算すると利益がないナスのため、税金を支払う必要がありません。
しかし、NISA口座は損益通算ができず、トータルでマイナスでも、A株の利益5,000円に対して税金を支払う必要があります。
ただし、頻繁に売買するような買い方をしない限りは、損益通算は関係ありません。
売却後は枠がすぐに復活しない
NISAの商品を売却すると売却分の枠が復活しますが、即復活ではなく、翌年の年初に復活します。
例えば、成長投資枠に1,200万円の投資を行っている場合に、200万円分の株を売却しました。
売却後の枠は1,000万円であり、200万円分の枠が空いたことになります。
今年は、200万円の空いた枠を使って投資を行うことができず、翌年の年初に200万円分の枠が復活して、成長投資枠を使った投資が可能になります。
この話は枠を目一杯使い切った時のことであり、1,800万円の枠を使い切れる人は多くありません。
商品選びは自己責任
つみたて投資枠にゴミ商品はないと言っても良いですが、成長投資枠は違います。
成長投資枠は、つみたて投資枠では投資できない投資信託もあり、リスクが高いETFや個別銘柄にも投資可能です。
そのため、ゴミ商品や倒産リスクのある個別銘柄にも投資ができるため、銘柄選びは慎重に行う必要があります。
「投資は自己責任」と言うことを忘れず、「何があっても誰も頼ることはできない」と言うことを、肝に命じておきましょう。
NISAは誰でも使える?対象者と条件
利用できる人
日本に住む18歳以上の個人が対象ですが、1月1日現在の年齢が18歳でなければなりません。
1月2日以降に生まれた方は、翌年の1月1日以降でないとNISA口座の開設はできません。
他の制度との併用は?
iDeCoとの併用も可能で、NISAは老後資金として確保しつつ、iDeCoは自分年金として積み立てるのが理想的です。
掛け金に税制優遇があるiDeCoは、60歳以降からしか引き出すことができず、引き出す際に課税されます。
そのため、自分年金として積み立てるには理想的で、NISAでとiDeCOを併用すると、老後にお金で困る可能性がなくなるかも知れません。
ジュニアNISAは?
ジュニアNISAは新NISAの始まりと共に、新規受付を終了しましたが、既存口座は2024年以降も継続管理が可能です。
新NISAは18歳以上が対象となり、ジュニアNISAに変わるものはありません。
しかし、年齢に関係なくNISAを利用できるようになる「こどもNISA」が設立される可能性があります。
NISAを始めるための3ステップ
金融機関を選ぶ
証券会社・ネット証券・銀行などでNISA口座は開設できます。
取扱商品が豊富で手数料が安い「ネット証券」がおすすめで、SBI証券や楽天証券を選ぶのが無難です。
銀行は商品が少なく、NISAで投資できるものが投資信託だけで、個別株やETFは購入できません。
銀行は手数料の高い商品が多くあり、対面販売だと銀行が儲かる高手数料の商品をすすめられる可能性が高いです。
対面販売の証券会社は、対面故に銀行と同じ高手数料の商品をすすめられるかも知れません。
NISA口座を開設する
マイナンバーカードや運転免許書のような本人確認書類を用意し、開設する証券会社のWEBサイトやアプリから申し込むだけで良く、申し込み方も簡単で、必要事項を記入するのみです。
証券口座開設は無料ででき、証券口座開設時に「NISA口座」も一緒に開設するのを忘れないようにしましょう。
証券口座は数日で開設されますが、NISA口座は税務署での審査があるために2週間ほど時間がかかります。
商品を選んで運用を開始
つみたて投資枠では、バランス型のインデックスファンドがおすすめで、投資初心者でも安心してスタートできます。成長投資枠では個別株やETFなどを購入できますが、つみたて投資枠と同じ商品がおすすめです。
個別株やETFの配当や利益を再投資する場合は、成長投資枠を使うことはおすすめしません。
配当や利益を再投資することで、枠を消費するからです。
例えば、200万円分の個別株を購入している状態で10万円の配当があったとしましょう。
10万円を再投資すると、200万円使用している枠に再投資分の10万円が加算され、210万円の枠を使用したことになり、内部で再投資される投資信託より、枠の消費が早くなり、投資できる金額も投資信託より少なくなります。
よくある質問(FAQ)
NISAはいくらから始められますか?
ネット証券は少額投資に対応しており、100円から始められます。
NISAで損したらどうなる?
損益通算はできませんが、長期投資が前提のNISAでは数十年の長い期間で見ると、損する可能性は低いです。
利益が出た場合、確定申告は必要ですか?
不要です。
NISA口座内での利益は自動的に非課税になりますが、外国株を購入した際は、購入国で自動的に課税されます。
通常、外国での課税分は確定申告で取り戻せますが、NISAに関しては取り戻せません。
つみたてNISAとiDeCo、どちらを先に始めるべき?
どちらでも良いというのが意見ですが、税制優遇に優れているiDeCoを先に始めれば良いでしょう。
ただし、iDeCoは受け取り時に課税されるため、どうのように受け取るかを考える必要があります。
まとめ|NISAを使って無理なく資産形成を始めよう
NISAは、投資初心者にとって最も始めやすい資産形成の手段です。
2024年からの新NISAでは、非課税枠や期間が拡充され、より多くの人にとって魅力的な制度になりました。
特に、運用期間が無制限になったことで、早いく始めれば始めるほど利益が大きくなります。
少額からでも大丈夫で、まずは投資経験を積みましょう。
株は株価の上下を繰り返しながら上がっていくもので、投資金額が少なければ下落時にパニックを起こすこともありません。
長期投資は下落耐性をつける必要があり、最初から大金を投じると下落時にパニック売りする可能性が高く、損しても良いと思える金額から始めのが良いでしょう。
まずは証券口座を開設して、毎月の積立からスタートしてください。
将来の安心のために、今日から一歩を踏み出してみませんか?
NISAを始めることを迷っているなら、投資信託に毎月1,000円でも良いので積み立ててください。
積立投資は少額でも早く始めることが、複利効果を最大に活かせる方法です。

