【初心者向け】iDeCo(イデコ)とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説!
老後の生活資金に不安を感じている人が増えている今、「iDeCo(イデコ)」という制度に注目が集まっています。
テレビやネットでもよく見かけるようになったこの言葉ですが、「実際にはよくわからない」「難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、iDeCoの基本的な仕組みからメリット・デメリット、他の制度との違い、始め方までを初心者にもわかりやすく解説します。
iDeCoとは?一言で言うと「自分で作る年金制度」
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、自分でお金を積み立てて運用し、老後に年金として受け取る制度です。
国が用意した制度であり、最大の特徴は節税効果が高いことで、iDeCoの掛け金が全額所得控除の対象になります。
現在の年金制度(国民年金・厚生年金)だけでは老後の生活資金が不十分と言われる中、自助努力が求められるようになってきました。
そんな背景から登場したのがこのiDeCoです。
これからの日本は「年金があてにならないから国民が自分で運用してください」と国が言っているようなもので、その代わりに、「運用分の税金は全額所得控除してあげる」と言っているようなものです。
iDeCoの仕組みをわかりやすく解説
iDeCoの流れは次の3ステップです。
毎月一定額を掛け金として積み立てる
毎月設定した金額を積み立てるだけで、積立分が全額所得控除の対象です。
積立金の上限は、会社員か自営業で違いがあります。
自分で選んだ金融商品で運用する
投資信託や定期預金で運用して、運用益は非課税です。
定期預金は元本保証ですが金利は低く、リスクを取る代わりに利益が大きい投資信託になります。
60歳以降に受け取り
「年金」または「一時金」として受け取りますが、受け取る際に税金がかかります。
この中で注目すべきことは「掛金が全額所得控除になること」と、「運用益が非課税であること」です。
通常、投資の利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoではこれがかかりません。
長期に積み立てることで、節税+複利効果による資産形成が期待できます。
iDeCoのメリット3つ|節税しながら老後資金を準備できる!
掛金が全額所得控除になる
iDeCo最大の魅力が全額所得控除です。
毎月積み立てた金額がそのまま所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減されます。
たとえば、年収500万円の会社員が毎月2万円をiDeCoに積み立てた場合、年間でおよそ48,000円以上の節税が期待できます。
これを年率にすると40%となり、確実に年率40%の投資商品は存在しませんが、iDeCoでは実現可能です。
ただし、所得控除は年収によって変わるため、全ての人が年率40%とは限りません。
運用益が非課税
通常の投資では、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、iDeCoではこの運用益がすべて非課税です。
10年・20年と長期間で運用すればするほど、非課税のメリットは大きくなります。
受け取り時にも税制優遇あり
受け取るときも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」が使えます。
一時金で受け取る場合は、退職金と同様の扱いになるため、かなりの額が非課税となるケースもありますが、2025年より「5年ルール」が「10年ルール」に変更されたため、iDeCoと退職金の両方に退職所得控除が利用しにくくなりました。
ルールの変更を簡単に説明すると、以前は60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取ると、両方に退職所得控除が適用されましたが、これが退職所得控除適用期間が5年から10年へ変更されました。
そのため、60歳でiDeCoを受け取ると70歳までは退職所得控除が使えず、今までのように65歳で退職金をもらと退職金に退職所得控除が使えません。
現状ではiDeCoを受け取る際は、年金として「公的年金等控除」を利用する方が良いでしょう。
退職所得控除が利用しにくくなっても、積み立て・運用・受け取りのすべてで税制メリットがあります。
iDeCoのデメリット・注意点も理解しよう
原則60歳まで引き出せない
iDeCoは老後資金を目的とした制度のため、原則として60歳まで資金を引き出すことができません。
そのため、60歳までで必要になる資金ではなく、余剰資金や老後に貯めている資金でiDeCoを運用するする必要があります。
運用リスクがある
iDeCoでは、定期預金などの元本保証型商品も選べますが、利率が低く元本が増えません。
そのため、多くの人が選ぶと思われる「投資信託」には元本割れのリスクがあるため、積み立てた金額よりも減ってしまうこともあります。
ただし、長期運用でリスクを平準化することができ、比較的安定したリターンを期待しても良いですが、iDeCo対象の商品にはボッタクリ商品と呼ばれる運用側が儲かる商品もあるため、商品選びは慎重に行いましょう。
手数料がかかる
iDeCoはNISAと違い口座の開設や維持に手数料がかかります。
iDeCo加入時に口座開設の手数料として2,829円程度が必要になり、どの金融期間でiDeCo口座を開設しても必要になります。
2,829円は最低限必要な金額であり、金融機関によっては管理する金融機関の手数料も上乗せしているところもあるため、2,829円以上の手数料を取る金融機関では手数料で儲ける目的のワナが多くあり、このような金融機関で口座開設は止めておきましょう。
どの金融機関でも、毎月の口座管理手数料が171円必要です。
口座管理手数料も口座開設手数料と同じで、171円以上必要になる金融機関での口座開設や止めましょう。
これらの手数料は、毎月の積立額から引かれるため、別途手数料を用意する必要はありません。

iDeCoはどんな人に向いている?
節税したい会社員・公務員・自営業者
所得控除が高く、掛け金と年収次第で、年間数万円の税制優遇を受けることができます。
老後資金を確実に準備したい人
毎月強制的に積立ができ、60歳まで受け取れないため、貯金や貯蓄が苦手な人には良い制度です。
60歳以降の受取のため、老後資金として活用できます。
長期でお金を運用できる余裕がある人
生活防衛資金があり、余剰資金でiDeCoを運用することが最善です。
投資信託では株価が大きく下落しても売ることができないため、投資の知識がなくても「狼狽売り」を避けることができます。
投資初心者だけど、少額から始めたい人
月5,000円から始めることができ、資金に余裕がなくても始めることができます。
また、所得がある人ほど節税効果が大きくなるので、特に働いている世代にはメリットが高い制度と言えるでしょう。
他の制度とどう違う?NISAや企業型DCと比較
iDeCoとよく比較されるのが「新NISA」や「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。
制度 | 節税効果 | 引き出し自由度 | 対象者 |
---|---|---|---|
iDeCo | ◎ 掛金全額控除あり | × 60歳まで引き出せない | 自営業・会社員・公務員・主婦など(条件あり) |
新NISA | △ 運用益が非課税 | ◎ いつでも引き出せる | 全員 |
企業型DC | ◎ 掛金控除あり(会社が負担) | × 引き出せない | 会社員(企業が導入している場合) |
iDeCoは自由度よりも節税効果を重視した制度で、NISAは自由度が高い制度です。
両方を組み合わせて使うと、かなりの効果が見込めます。
iDeCoの始め方|5ステップで簡単スタート
加入資格を確認する
iDeCoの加入資格に該当しているかの確認が必要です。
会社員・公務員・自営業者・主婦・学生など、それぞれの立場で加入条件が異なりますが、20歳以上で現在国民年金に加入しているか、過去に国民年金に加入していた場合は加入できます。
20歳以上で国民年金に加入したことがある人なら、ほぼ問題なくiDeCoに加入できるでしょう。
金融機関を選ぶ
証券会社や銀行など、iDeCoを扱う金融機関は数多くありますが、手数料・取扱商品数・サポート体制などを比較して選びましょう。
銀行系は口座開設や維持にかかる手数料が高く、取り扱っている商品の手数料も高いです。
証券会社は手数料が安くなる傾向にありますが、対面販売の証券会社は避けるのが良く、ネット証券で口座を解説するのが一番良いでしょう。
ネット証券大手の楽天証券・SBI証券がおすすめで、口座開設料と口座維持費は最低限の費用しかかからず、手数料の低い商品が多いです。
運用商品を選ぶ
定期預金・保険商品・投資信託などの中から、自分に合った商品を選択しましょう。
リスク許容度に応じて組み合わせることが大切ですが、資産を増やすには投資信託をおすすめします。
投資信託は長期で運用すると損する確率が低くく、定期預金や保険商品では投資信託ほどの利益を得ることができません。
長期運用のiDeCoと投資信託は相性が良く、全世界・全米・S&P500の株式に投資している商品は人気があり、信託報酬が0.1%以下の商品を選びましょう。
申込書を提出する
選んだ金融機関から申込書を取り寄せ、必要事項を記入して提出します。
ネット証券ではネットのみで完結するため、書類の記入は必要ありません。
iDeCoを申し込む際に、基礎年金番号が必要になるため、マイナポータルやねんきんネットで調べることができます。
申込み後は、金融機関で口座開設後に、国民年金基金連合会で加入資格の確認が行われるため、1〜3ヶ月後にiDeCoの利用ができます。。
会社員の場合は、勤務先からの証明書類が必要になっていましたが、2025年からは不要になりました。
積立スタート!
手続きが完了すれば、毎月自動で積み立てが開始されます。
運用成績が気になるところですが、こまめに見ていると精神的な動揺になるため、半年に1回ぐらいにしましょう。
よくある質問(Q&A)
主婦でもiDeCoに加入できますか?
できますが、専業主婦などで課税所得がない場合は、節税効果は得られません。
働く予定がない場合は、iDeCoよりNISAの方が良いかも知れません。
途中で掛金の金額を変更できますか?
年に1回、掛金の変更が可能です。
変更した金額は同年12月引き落としから対象となり、翌年1月買い付け分から適用されます。
金融機関は後から変更できますか?
変更可能ですが、手続きに時間と手数料がかかるため、最初に金融機関を慎重に選ぶことをおすすめします。
運用が不安な初心者でも大丈夫?
元本保証型の商品もあるので、リスクを避けたい人でも始められますが、資産が大きく増えることはありません。
リスク資産(投資信託)に挑戦するほうが資産の増え方が大きくなり、なるべくリスク資産で運用することをおすすめします。
【まとめ】iDeCoは将来の安心をつくる制度。早く始めるほどおトク!
iDeCoは、税制優遇を受けながら老後資金を効率よく準備できる制度です。
原則60歳まで引き出せないという制約はありますが、それを補って余りあるメリットがあります。
「老後資金に不安はあるけど、何から始めたらいいのかわからない…」という方は、まずはiDeCoからスタートしてみてはいかがでしょうか?
将来の自分に安心をプレゼントする第一歩として、今日から考えてみてください!
そして、お金に困らない豊かな老後を目指してください。
