【徹底解説】iDeCoの受け取り方とは?一時金・年金・併用の違いと選び方ガイド

【初心者向け】iDeCoの受け取り方をわかりやすく解説|一時金と年金、どっちがお得?

老後資金の準備に活用できる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は運用中の節税効果が大きいため、加入者は年々増加しています。
しかし意外と見落とされがちなのが、受け取り方です。
実は、iDeCoは「どう受け取るか」によって、税金の負担や最終的な受取額に大きな差が出ることをご存じですか?

この記事では、初心者の方にもわかりやすく、iDeCoの3つの受け取り方法やそれぞれの特徴・選び方のポイント・注意点などを詳しく解説します。
老後の資金を賢く受け取りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

iDeCoの基本をおさらい|なぜ受け取り方が重要なのか?

iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」の略で、加入者が毎月一定の金額を拠出し、自ら運用して、老後に受け取る私的年金制度です。

運用期間中は以下のような大きな節税メリットがあります。

・拠出金が全額所得控除になる
・運用益が非課税になる
・受け取り時にも控除が使える

特に注目すべきなのが、「受け取り時に控除が使える」という点です。
iDeCoは受け取り方によって、適用される税制が異なり、課税額も大きく変わります。
そのため、老後の資金を最大限有利に受け取るには、「いつ、どの方法で、どのように受け取るか」が非常に重要なのです。

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iDeCoの受け取り方は3種類

一時金として一括で受け取る

退職金のように、まとめて受け取る方法です。
例えば、65歳で一括受け取りを選択すれば、その時点で積立てた資金全額が銀行口座に振り込まれます。

メリット

まとまった資金が使える
住宅ローンの完済・旅行・子どもへの援助のように、まとまったお金が必要になることへ使えます。

税制上の控除(退職所得控除)が受けられる
退職所得として扱われるため、税制優遇が大きくなります。

デメリット

課税額が増える可能性あり
他の退職金と同じ年に受け取ると、その合計額に対して、加入年数と勤続年数のどちらか一方に応じた退職所得控除しか利用することができません。
そのため、所得控除が少なくなり、支払う税金が増えてしまう可能性があります。

一括で使ってしまうリスクがある
大金が手に入ることで気が大きくなり、大きな買い物や不要なことに使ってしまうかもしれません。

税金の扱い

退職所得控除が適用され、比較的有利な課税制度となっています。
勤続年数が長いほど控除額も増えるため、多くの場合で、課税対象外またはごくわずかな税負担で済むでしょう。

年金として分割で受け取る

毎年または毎月など、定期的に分割して受け取る方法です。
5年以上20年以下の期間で受け取ることができ、受取期間は金融機関によって異なります。

メリット

計画的に老後資金が使える
公的年金(国民年金・厚生年金)で足らない分を、iDeCoの受け取り分で補えます。

税金が抑えられるかも知れない
「公的年金+iDeCo」の受け取り分が少なければ、支払う税金も少なくなります。
IDeCoは運用を続けながら受け取るため、運用成績次第で受取額が変化し、前年より受給額が増える年もあるでしょう。

長寿リスクに備えやすい
老後は年齢と共に病気になるリスクが上がっていき、医療費が増加する傾向にあります。
公的年金以外の収入があると病気時のリスクに備えることができ、長生きしてもお金に困る可能性を下げられるでしょう。

年間の受取回数が選択できる
1年間の受け取り回数を1〜6回で選ぶことができ、6回に指定すると公的年金と同じ月に振り込まれます。

デメリット

受け取りに税金がかかる
受け取り時に、他の所得(公的年金・給与所得・事業所得など)と合算して税金を計算します。
そのため、他の所得と所得控除額によって収める税金が変わるのです。

受取期間中に死亡した場合
未受取分は相続対象になり、相続順位の高い順に一時金で受け取ることができます。
受取時に相続税法上の「みなし相続財産」となり、受け取る金額と法定相続人の人数によっては、税金を支払う必要が発生するかも知れません。

税金の扱い
「公的年金等控除」が使えます。
特に65歳以上では控除額が高くなり、受け取り額が控除枠内に収まると非課税になるかも知れません。

手数料
1回の受け取りに対して手数料が発生し、受け取る回数が多くなればなるほど手数料が多くなっていきます。

一時金+年金の併用受け取り

一括で一部を受け取り、残りを年金形式で受け取る方法です。
柔軟性が高く、近年人気が高まっています。

メリット

一括と年金の良いとこ取りができる
一部を一括で受け取ることで、住宅ローンの完済などに使用でき、残りは運用しながら取り崩すことができるため、総額で全額一括受け取りより、多くの金額を受け取ることができるでしょう。

デメリット

割合の設計に手間がかかる
一括で受け取る割合を計算する必要があり、この計算が手間と思えるかも知れません。

金融機関によって変わる
対応していない金融機関もあります。

税金の扱い
一括部分は退職所得控除が適用され、年金部分は公的年金等控除が適用されます。
うまく組み合わせることで、税負担を最小限に抑えられるケースもありますが、一括部分で退職所得控除が使えない可能性が高く、税金負担が大きくなるかも知れません。

どの受け取り方を選ぶべき?判断ポイントを解説

退職金の有無と金額

iDeCoで退職所得控除を使いたい場合は、退職金と同年で受け取るか、退職金を受け取ってから10年後にiDeCoを一時金で受け取る必要があります。
多額の退職金をもらう予定がある人は、同年にiDeCoも一時金で受け取ると控除枠を超えて課税される恐れがあり、次に退職金所得控除が使えるのは10年後です。
10年後を待てる人は良いですが、待てない場合は、年金方式で受け取ることをおすすめします。

公的年金の受給額

公的年金が多い人は、iDeCoを年金で受け取ると、雑所得が増えて課税対象になる可能性があります。
一時金と併用することを考える必要もありますが、退職所得控除が使えないかも知れません。
その場合は、iDeCoを受け取る期間を長くして、一度に受け取る金額を減らす方法もあります。

生活資金の必要性

今、まとまったお金が必要な場合は一括が良く、毎月の生活費の補填なら年金形式が適しています。
受け取る公的年金の額や、ローンを一括で支払う必要性があるかの確認が必要です。

税金の最適化を目指したい場合

退職所得控除と公的年金等控除の仕組みを理解して、併用受け取りを検討するると、税負担を抑えることが可能です。
退職所得控除には「10年ルール」があるため、退職金を受け取った10年後にしかiDeCoで退職所得控除が使えません。
そのため、退職所得控除を使いたい場合は、退職金と同年に受け取ると良いでしょう。

iDeCo受け取りの手続き方法とスケジュール

1.受給開始可能年齢の確認
原則として60歳から受け取れますが、加入期間が10年未満だと、開始年齢が繰り下がる場合があります。

加入年齢受け取り開始年齢
〜50歳60歳〜75歳
50歳〜52歳61歳〜75歳
52歳〜54歳62歳〜75歳
54歳〜56歳63歳〜75歳
56歳〜58歳64歳〜75歳
58歳〜60歳65歳〜75歳
60歳〜加入後5年経過〜75歳

2.金融機関からの案内を確認
iDeCoを受け取る年齢(原則60歳)に達すると、日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社(JIS&T社)から支給のための書類一式が送られます。

3.書類の提出
JIS&T社より送られてきた書類に必要事項を記入して返送します。
記載漏れがあると、提出した書類が返送され、記載後に再度発送することになるでしょう。

4.裁定結果の確認
JIS&T社で裁定が終われば、「給付金裁定結果通知書」を郵送にて届きます。
提出した書類に不備がないとか、受給年齢に到達しているか等の確認を行うだけです。

5.振込開始
一時金では指定日に一括で入金され、年金では1年間に指定した回数が指定日に振り込まれます。

受け取った後のお金、どうする?

受け取ったiDeCo資金をどう使うかも重要です。
特に一括で受け取った場合、生活費として使う以外にも、資産運用に活用するのも選択肢の一つです。

債権に投資
60歳から始める株式投資はリスクが高く、運用に失敗すると資産を大きく減らすため、株式より債権投資をおすすめします。
債権は償還日(購入時に決めた日にち)になると、元本+利益が戻ってくる安全性の高い投資です。
ただし、株式投資ほどの利益は期待できません。

定期預金で運用
銀行へ定期預金で預けることが一番安全です。
ただし、銀行倒産リスクに備えて、1銀行に対して1000万円までにしましょう。

タンス預金
これが一番最悪な方法です。
「タンス預金=自宅保管」になり、火事や強盗にあった際に全てがなくなり、誰も保証してくれません。
安全のためにも自宅で保管するのではなく、どこかの金融機関に預けるようにしましょう。

まとめ

iDeCoの受け取り方は、以下の3種類から選べます。

・一括で受け取る「一時金」方式
・分割で受け取る「年金」方式
・両方を組み合わせた「併用」方式

それぞれにメリット・デメリットがあり、税制面での違いも大きいため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

iDeCoの受け取り方法は3種類しかありませんが、受け取り方については税金の問題があり複雑になっています。
しかし、税金問題を解消できない限りはiDeCoを受け取ることができず、税金の話は難しいですが頑張ってください。

受け取り方がiDeCo最大の難関であり、受け取り方次第で運用益の減少を少なくできます。

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