ドルコスト平均法とは?初心者でもわかる仕組みとメリット・デメリットを徹底解説
資産形成を始めたいけれど、「投資のタイミングがわからない」「リスクが怖い」という方におすすめの方法が ドルコスト平均法 です。
投資の世界では基本中の基本ともいえる手法で、長期的にコツコツと資産を増やしたい人に向いています。
この記事では、投資初心者でも理解できるように ドルコスト平均法の仕組み・メリット・デメリット・始め方 をわかりやすく解説します。
ドルコスト平均法とは?基本をわかりやすく解説
ドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging)とは、一定額を定期的に投資する方法 のことです。
たとえば、毎月1万円を投資信託や株式に積み立てていくことであり、銀行のつみたて定期と同じような考え方になります。
株価が高いときは少ししか買えませんが、株価が安いときは多く買うことができ、その結果 平均購入単価を平準化できる 効果があります。
たとえば、株価千円のとき1万円購入すると10株購入でき、株価500円のときに1万円購入すると20株となり、合計で2万円投資して30株持つことになりました。
この30株の平均取得額は、「20,000円÷30株=666円」となり、1株666円で購入したことになります。
個別株の、ナンピンと同じ考え方です。
この手法は一括投資のように「買うタイミングを間違えて大きく損をする」リスクを軽減できるため、投資初心者にとても人気があります。
ドルコスト平均法の仕組み
ドルコスト平均法の基本的な仕組みをもう少し具体的に見てみましょう。
投資額は一定
毎月1万円、毎週1,000円など、自分で決めた額を継続して投資することが重要です。
特に、株価が下がって不安になっているときも続ける必要があり、下落時には「安く多く買える、株のバーゲンセール」ぐらいに思うと良いでしょう。
買える数量が変動
価格が高いときは少なく、安いときは多く購入することができます。
結果として平均単価が下がる
長期的に見ると、購入コストを平準化できるため、高値掴みのリスクを軽減してくれます。
ドルコスト平均法のメリット
ドルコスト平均法には、多くの投資家が評価するメリットがあります。
投資タイミングを分散できる
一括で購入すると「高値づかみ」になるリスクがあり、定期的に分散して投資することで、購入タイミングの失敗を防げます。
感情に左右されにくい
投資では「恐怖」や「欲望」が判断を狂わせがちです。
しかし、機械的に一定額を積み立てるため、感情に振り回されずに続けることができ、投資していることを忘れるぐらいが良いでしょう。
長期投資と相性が良い
株式市場は短期的には上下を繰り返しますが、長期的には成長していく傾向があります。
そのため、ドルコスト平均法はその成長の恩恵を受けやすい投資法です。
初心者でも始めやすい
少額から始められる証券会社が多くあり、投資信託では100円から積立投資ができます。
投資経験が少ない人でもハードルが低く、少額でも始められる点が魅力です。
ドルコスト平均法のデメリット・注意点
メリットが多い一方で、ドルコスト平均法にもデメリットがあります。
短期では大きな利益を得にくい
コツコツ積み立てる方法のため、短期で一気に資産を増やしたい人には向いていません。
日々の価格を気にすることなく、毎月淡々と投資するのがドルコスト平均法であり、それが退屈と思う人は個別株が良いと思います。
下落相場では損失が出ることもある
株価が下がり続ける局面では、投資を続けても含み損が膨らむ可能性があります。
含み損は、今売れば損をすることであり、実際の損失ではなく、含み損があっても売却するまでは損失が確定しません。
長期投資の積立投資で含み損を気にする必要がなく、株価が戻ることを信じて積立を続けましょう。
上昇相場では一括投資に劣る可能性
右肩上がりの相場では、早く投資した方がリターンは大きくなります。
そのため、強い上昇局面ではドルコスト平均法より一括投資の方が有利な場合もありますが、相場の上下を読むことはプロでも難しいです。
ドルコスト平均法に向いている人・向いていない人
向いている人
投資のタイミングがわからない人
相場の判断ができない人に、向いています。
コツコツ積立が得意な人
積立という退屈な作業が苦にならない人には良いでしょう。
長期で資産形成を目指す人
ドルコスト平均法は長期投資で非常に優れている投資手法であり、長期投資こそドルコスト平均法を活用してください。
iDeCo・NISAを利用したい人
税制優遇制度を利用して、投資信託で毎月積み立てを行い人には良い手法です。
こちらも、長期投資になります。
向いていない人
短期で大きな利益を狙いたい人
長期投資向きのドルコスト平均法では、短期で大きな利益はでません。
短期の利益を狙う投資は、ギャンブルに近い側面があり、投資より投棄に近いです。
まとまった資金を一度に投資できる人
優良なインデックスファンドでは、市場に長く投資するほうがリターンが大きくなる傾向にあり、まとまった資金がある場合は、一気に投資したほうが有利になります。
相場分析をして積極的に売買したい人
積み立てるだけの作業は面白いものではなく、個別株を売買して投資を楽しみたい人には向きません。
ドルコスト平均法の活用例
実際にどのように使えるか、具体例を見てみましょう。
投資信託の積立投資
ネット証券では、毎月一定額で投資信託を購入する「積立投資」が主流です。
投資信託の積立投資はドルコスト平均法の代表的な活用方法と言えるでしょう。
iDeCo・NISAの活用
両制度とも税制優遇があり、iDeCoとNISAの積立投資枠は毎月一定額を積み立てる仕組みになります。
自然にドルコスト平均法を実践できるので、初心者でも始めやすいです。
IDeCoは掛け金が全額所得控除になり、投資で得た利益も非課税になっています。
一方のNISAは、利益が非課税となり、ともに税制面で優れた制度です。


米国株・インデックス投資
米国を代表する指標であるS&P500に対応しているインデックスに積立投資すると、米国経済が成長することで資産が増えていきます。
同じように、全世界株式インデックスに定期積立をすることで、世界経済の成長に合わせて資産を増やすことが可能です。
成長国や全世界のインデックスに積立投資すると、投資先の経済が成長すると指数も上がり、結果的に投資家の利益に繋がります。

ドルコスト平均法と一括投資の比較
投資方法としてよく比較されるのが「一括投資」です。
ドルコスト平均法
購入価格を平均化し、高値掴みのリスクが軽減できます。
安定した長期投資にも、向いているでしょう。
一括投資
投資している時間が積立より長くなるため、資金効率が良くなり、上昇相場では有利です。
ただし、タイミングを間違い、高値圏で投資すると下落時に大きな含み損を抱えることになるでしょう。
実際のデータでは、米国株のように長期的に右肩上がりの市場で「一括投資の方がリターンが高い」傾向です。
しかし、相場の上下に振り回される可能性を減らしてくれるドルコスト平均法は、精神的に安心して続けられる点が優れています。
始めるタイミングが同じで、数十年の長期投資になると、一括とドルコスト平均法の違いは誤差程度の利益になり、少しでも精神を安定して投資を行いたい場合は、ドルコスト平均法が良いです。
ドルコスト平均法を始めるには?
証券会社を選ぶ
SBI証券・楽天証券・マネックス証券のような、大手ネット証券は100円からの積立投資が可能です。
ネット証券では、多くの投資信託を扱っており、売買手数料が無料のものも多くあります。
SBI証券と楽天証券は、個別株の現物が売買手数料無料になっており、他のネット証券より条件が良いです。
証券口座開設時に、NISA口座も一緒に開設しておくと、NISAのつみたて投資枠を利用して非課税で運用できます。
投資対象を決める
投資信託のインデックスファンドがおすすめで、1本購入するだけで分散や銘柄の入れ替えを自動で行ってくれます。
特に、S&P500や全世界株式に連動する商品よく、代表として「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が、運用手数料も安く人気です。
積立額と頻度を設定する
最初は少額から始めることが重要です。
いきなり大金を投資すると、暴落時の含み損に耐えることができずに売る可能性が高くなり、損失を出した後に投資から退場する可能性があります。
そのため、ある程度の含み損が発生しても耐えられそうな金額から始める必要があり、半分になっても良いと思えるぐらいの金額から始めましょう。
金額を決めると、毎月投資する日にちを決めて、あとは設定するだけです。
長期で続ける
ドルコスト平均法は「継続」こそが、絶対条件になります。
短期の値動きに一喜一憂せず、10年や20年単位で取り組むことで効果が現れる投資法です。
優良なインデックスファンドに20年以上投資していると、過去のデータでは損失が出ることがなく、米国のS&P500では年利6%以上の利益がありました。
筆者の意見
ドルコスト平均法は、市場の動向を知る必要がなく、株に対する知識が乏しくても行える優れた投資法になります。
特にNISAを使ったインデックス投資と相性が良く、誰でもかんたんに投資ですが、続ける難しさもある投資法です。
毎月積み立てていることを忘れるぐらいが丁度良く、年に1度ぐらいの割合で証券口座をチェックするぐらいが、精神的にも良いでしょう。
まとめ
ドルコスト平均法とは、一定額を定期的に投資することで、購入単価を平準化する投資手法 です。
- 投資タイミングを分散でき、初心者でも始めやすい
- 長期投資に適しており、NISAやiDeCoと相性抜群
- 短期的な利益は出にくく、上昇相場では一括投資に劣ることもある
初心者が投資を始めるなら、まずはドルコスト平均法でコツコツ積み立てるのがおすすめです。
資産形成はマラソンのような長期戦であり、焦らずじっくり取り組むことで、未来の大きなリターンにつながります。
