iDeCoとNISAの違いをわかりやすく解説!初心者向けに徹底比較
「将来のために資産運用を始めたいけれど、iDeCoとNISAのどっちを選べばいいの?」
こんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
iDeCoもNISAも、投資の利益が非課税になるという共通点はありますが、それぞれの制度・目的・特徴が大きく異なります。
この記事では、iDeCoとNISAの違いを初心者にもわかりやすく解説し、目的別のおすすめや併用方法まで詳しく紹介します。
2024年から新NISA制度も始まり、選択肢が増えた今だからこそ、正しく理解しておきましょう。
iDeCoとは?老後資金に特化した制度
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、将来の年金を自分で準備する制度です。
公的年金に上乗せして、自分で積み立てて運用し、60歳以降に受け取る仕組みになっています。
iDeCoの主な特徴
利用目的
将来の年金制度があてにならない現在で、老後の資金を各自で準備するための制度です。
掛金
毎月5,000円から始めることができ、上限は職業によって異なります。
職業区分 | 月額上限 |
---|---|
自営業者 | 68,000円 |
会社員(企業年金なし) | 23,000円 |
会社員(企業年金あり) | 20,000円 |
公務員 | 20,000円 |
専業主婦(夫) | 23,000円 |
節税効果
掛金の全額が所得控除の対象になり、掛け金が多ければ多いほど税制優遇が大きいです。
年収400万円の会社員が毎月23,000円の積み立てを行うと、約4万円の税金控除が受けられます。
運用益
株式投資の運用益に対して20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益は全額非課税となり、運用期間が長ければ長いほど非課税の額が大きくなります。
引き出し
原則60歳までは引き出すことはできませんが、iDeCoの加入者が亡くなったなどの例外として引き出すことができます。
ただし、50歳以降に加入した場合は、60歳で引き出すことはできません。
加入年齢 | 受け取り開始年齢 |
---|---|
〜50歳 | 60歳〜75歳 |
50歳〜52歳 | 61歳〜75歳 |
52歳〜54歳 | 62歳〜75歳 |
54歳〜56歳 | 63歳〜75歳 |
56歳〜58歳 | 64歳〜75歳 |
58歳〜60歳 | 65歳〜75歳 |
60歳〜 | 加入後5年経過〜75歳 |
iDeCoのメリット
所得控除
掛け金の全額が所得控除されるため、節税効果が非常に高く、税制優遇だけでもiDeCoを利用する価値があるぐらいです。
運用益が非課税
運用期間が長くなると掛け金より運用益のほうが多くなる可能性が高く、運用益に税金がかからないこともiDeCoの優れている点です。
受け取り時の税制優遇
退職所得控除や公的年金等控除が使えるため、受け取り時に発生する税金を低くすることができます。


iDeCoのデメリット
60歳まで資金を引き出せない
iDeCoは老後資産を作る制度であるため、資金ロックされるのは仕方ありません。
そのため、生活に必要なお金を掛けるのではなく、余剰資金を掛けるようにしましょう。
元本割れのリスクがある
iDeCoの主な運用が投資信託になり、取り崩すタイミング次第では元本割れする可能性があります。
しかし、過去のデータから30年以上の継続で元本割れのリスクがなく、早く始めたほうが有利になるでしょう。
手数料がかかる
口座開設や毎月の維持費が必要です。
ネット証券で口座開設をすると必要最低限の維持費のみで済む反面、銀行や生命保険会社では最低限以上の手数料が必要になります。

NISAとは?自由度が高い資産形成制度
NISA(少額投資非課税制度)は誰でも使える非課税制度で、投資によって得た利益に税金がかからない仕組みです。2024年からは「新NISA」として制度が刷新され、生涯運用できる額が大きく増えました。
新NISAの主な特徴(2024年以降)
利用目的
資産形成や貯蓄の延長として利用できます。
投資上限
年間360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)に拡大され、生涯利用できる金額が1800万円(つみたて投資枠600万円・成長投資枠1200万円)になりました。
非課税期間
運用益の非課税期間が無期限となり、NISA口座を利用する限りは一生非課税で運用できます。
引き出し
購入した株式や投資信託は自由に売買できますが、そこで使用していたNISA枠を今年中に使用することができず、翌年以降に枠が復活します。
対象商品
成長投資枠は投資信託・ETF・株式が主な投資先となり、つみたて枠は投資信託のみに投資できます。
NISAのメリット
運用益・配当金のすべてが非課税
株式の利益に発生する20.315%の税金が非課税になり、税金が引かれて効率が悪くなる配当金再投資も、NISAでは効率よく運用できます。
いつでも資金を引き出せる
iDeCoのような引き出しの制限がなく、自由に株式や投資信託の売買が可能です。
iDeCoよりも商品選びの自由度が高い
成長投資枠では個別株やETFが対象となるため、iDeCoより多くの商品を選ぶことができます。
NISAのデメリット
所得控除がない
運用益が非課税になるのみで所得控除がなく、iDeCoのような掛けているだけで得られる節税効果はありません。
元本保証はない
株式投資は価格変動があり、株価次第で資産がマイナスになる場合もあります。


iDeCoとNISAの違いを徹底比較
iDeCo | 新NISA | |
---|---|---|
対象者 | 20歳以上60歳未満の国民年金加入者 | 日本在住の18歳以上 |
利用目的 | 老後資金 | 資産形成・貯蓄代替 |
節税効果 | 掛金が所得控除・運用益非課税 | 運用益・配当金が非課税 |
投資可能額 | 月5,000円~職業によって上限あり | 年間360万円(生涯1,800万円) |
非課税期間 | 運用中はずっと | 無期限(売却後翌年再利用可) |
引き出し制限 | 原則60歳まで引き出し不可 | いつでも引き出し可能 |
手数料 | あり(加入・運用・受取) | 基本的に無料(証券会社による) |
対象商品 | 投資信託・定期預金・保険など | 株式・ETF・投資信託など |
目的別!どちらを選ぶべき?
iDeCoとNISAのどちらを使えばよいかは、目的やライフステージによって異なります。
老後資金をしっかり準備したい → iDeCoがおすすめ
長期投資で老後資金を積み立てたい方
原則60歳まで引き出せないiDeCoは、老後資金を目的に作られています。
自己破産等で財産を没収された際も、iDeCoは年金扱いになるため、iDeCoの掛け金は没収されません。
毎年の節税効果を得たい
掛け金の全額が所得控除の対象となるため、所得が多い人や掛け金が多い人は節税効果も大きいです。
しかし、iDeCoの最低掛け金の月5,000円を掛けた場合、年間6万円が所得控除の対象になり、年間最大5万円の生命保険等の控除額より大きくなります。
そのため、掛けているだけで生命保険以上の控除を得ることができるでしょう。
使い道が自由な資産形成をしたい → NISAがおすすめ
近い将来に使う可能性があるお金を運用したい
iDeCoのような引き出し制限がなく、好きなときに株式等を売却できます。
短期での売却は元本割れのリスクもあるため、ある程度の運用期間が必要です。
所得控除のメリットが小さい人
所得が少ない人・学生・専業主婦はiDeCo最大のメリットである所得控除が少なくなります。
そして、掛け金の受け取り時に課税されるため、iDeCoを使うメリットがありません。
一方のNISAは運用益が非課税のため、税金を収める必要がなくなるNISAのほうがメリットは大きいです。
iDeCoとNISAは併用できる?
iDeCoとNISAは併用可能です。
併用の例
毎月の掛け金上限までiDeCoを運用して、残りの資金をNISAで運用します。
このように運用すると、iDeCoで最大限の所得控除を受けることができ、iDeCoで運用できない分をNISAで運用することで、資産を有効に運用することが可能です。
たとえば、会社員で月5万円の資金を投資するとした場合。
iDeCoで23,000円・NISAで27,000円と分けて投資すると、iDeCoの掛け金上限まで使うことができるため、最大限の所得控除を得ることができます。
そして、残った27,000円をNISAで運用することで、共に運用益を非課税が非課税になるメリットがあり、資金を効率よく運用することが可能です。
よくある質問(FAQ)
iDeCoとNISA、どちらから始めるべき?
老後のための資金は、税制優遇が大きいiDeCoで運用することをおすすめします。
数年後に使う予定のある資金は、資金ロックのないNISAが良いですが、できることなら、節税効果が大きいiDeCoを優先するほうが良いでしょう。
iDeCoは途中でやめられる?
積立の停止はできますが、原則60歳まで引き出すことはできません。
学生や主婦でもiDeCoは使える?
国民年金を払ったことがある場合は可能ですが、所得が少ないと節税の恩恵は小さいです。
NISA口座とiDeCo口座は別の証券会社で開設できる?
可能ですが、管理のしやすさを考えると、同じ証券会社にまとめるのが良いでしょう。
まとめ|iDeCoとNISAの違いを理解して、自分に合った資産運用を
iDeCoとNISAは、どちらも将来のためにお金を増やす強力な制度ですが、資産を増やす目的によって使う制度が異なります。
筆者個人としては税制優遇が大きいiDeCoを優先するほうが良いです。
できることなら、どちらか一方ではなく、併用することでより強固な資産形成が可能になり、まずは少額から始めて、自分のライフプランに合った方法を見つけましょう。
