分散投資は意味がない?デメリットと本当の効果を徹底解説
はじめに
「分散投資って本当に意味があるの?」
資産運用を始めると、必ず耳にするのが「分散投資」という言葉です。
投資信託やバランスファンドの説明でも、「分散することでリスクを減らす」と紹介されます。
しかし、一方で「分散投資は意味がない」「結局リターンが薄まるだけ」という意見も見かけるのも事実です。
では、分散投資は本当に意味がないのでしょうか?
この記事では、「分散投資の意味がない」と言われる理由と、それでも多くの投資家が分散を実践する本当の意味をかりやすく解説します。
分散投資とは?基本のおさらい
分散投資とは、一つの資産や銘柄に集中せず、複数の投資先に分けて資産を配分する方法です。
たとえば株式だけでなく、債券・不動産(REIT)・コモディティ(金など)・海外資産に投資対象を広げることで、ある資産が大きく下落しても全体のダメージを抑えられる効果があります。
投資の世界では「卵は一つのカゴに盛るな」という格言がよく引用されます。
卵を一つのカゴに全部入れてしまうと、カゴを落としたときにすべて割れてしまう可能性があり、複数のカゴに分けておけば、一部の卵が割れても他は守られるので、これが分散投資の考え方です。
「分散投資は意味がない」と言われる理由
それでは、なぜ一部の人は「分散投資は意味がない」と主張するのでしょうか?
代表的な理由を整理してみましょう。
リターンが薄まる
もし特定の銘柄が大きく成長した場合に、そこへ集中投資していた方が大きな利益を得られます。
分散投資をしていると、成長株の利益がほかの資産で相殺されるので、「もっと儲けられたのに」と感じる人も少なくありません。
効率的に資金を運用するのに、集中投資は理にかなっています。
市場全体が下落すると効果が薄い
リーマンショックやコロナショックのような世界的な金融危機では、株式市場がほぼ一斉に下落しました。
このようなケースで分散していても大きな損失を避けられず、「結局意味がない」と思われがちです。
世界市場が一斉に下落すると、分散効果の恩恵を受けられにくいので、分散する意味がないかも知れません。
過度な分散で管理が複雑になる
安心を得るために分散しすぎると、投資商品が増えすぎて管理が難しくなります。
ポートフォリオを定期的に見直すリバランスも大変になり、投資初心者ほど「よく分からないまま商品を増やしてしまい、効果が感じられない」という状況に陥りがちです。
本当の意味で分散できていない
見た目には分散しているつもりでも、実際には似たような資産ばかりに投資しているケースもあります。
例えば、日本の大型株ばかりを何銘柄も持っていたとしても、同じ市場の影響を受けるため、分散効果は限定的です。
さらに、同じ国の商品のみに投資していると、その国の経済が悪化した際に、すべての商品価値が下落します。
投資期間が短いと効果が見えにくい
分散投資は短期間で大きな成果を出す方法ではありません。
数か月〜数年のスパンで見れば「結局マイナスでは?」と感じることもあり、長期でこそ効果を発揮する戦略なのです。
短期目線の人には「意味がない」と思われるかも知れません。
分散投資が「意味がある」ケース
ここまで「意味がない」と言われる理由を見てきましたが、実際には分散投資は多くの投資家にとって重要な戦略です。
どのようなケースで効果を発揮するのでしょうか?
長期投資で安定したリターンを狙いたいとき
短期的には上下動があっても、10年・20年と続けることで安定的に資産を育てることができます。
一発逆転ではなく「資産を守りながら増やしたい」人
ハイリスク・ハイリターンではなく、着実に資産形成を進めたい人には向いています。
集中投資はリターンが高くなりやすい反面、損失も大きくなりやすいです。
分散投資では、債権のような守りの資産に投資することで、下落リスクを軽減できます。
将来が不確実な時代に備える手段
どのような国や資産が伸びるかを正確に予測することができる場合は、そこに集中することで資産を大きく増やせますが、的確に予想することは不可能です。
予想が外れて、経済不況や下落に陥って、大きな損失が被ることになります。
投資する国や資産を分散することで、1国や1資産が損失を被っても、他の資産でカバーできるため、損失を少なくできます。
投資初心者がリスクを取りすぎないために有効
投資経験の少ない初心者が集中投資をすると、投資先の見極めが甘くなるため、大きな損失を出す可能性が高いです。
分散することで一部が損失を出しても、他の資産がカバーしてくれます。
損失の少なさが精神の安定になり、結果、狼狽売りを避けることで損失の確定を防ぐことができ、市場にとどまることができます。

分散投資を効果的にする方法
せっかく分散投資をするなら、正しく実践して効果を引き出すことが大切です。
株式だけに偏らない
株式のみではなく、債権を組み合わせましょう。
債券を組み合わせることで、景気変動による影響を和らげる効果が期待できます。
地域を分散する
日本だけでなく、米国・欧州・新興国などにも投資しておくと、一国の経済低迷に左右されにくいです。
他国に投資することで、日本の経済が悪化しても他国が悪化しなければ、日本に投資している資産のみの損失ですみます。
海外資産を持つことは、円以外の通貨を持つことになり、円の価値が下がると海外通貨の価値が上がるため、為替の損失も補ってくれます。
資産クラスを広げる
不動産(REIT)や金などを取り入れることで、安定感が増します。
株と違う値動きをするREITは、株価が下落してもREITは上がる場合もあり、違う動きをする資産を持つことで損失をカバーできます。
有事の金と言われるぐらいに、金は世界規模の暴落時に強い資産です。
インデックスファンドやバランスファンドを活用する
手軽に複数の資産へ分散でき、管理も簡単で、投資初心者には特におすすめです。
ファンド内で投資先や投資比率を調整してくれるため、投資家は何もすることがありません。
優良なインデックスファンでは、年間手数料も0.2%以内に収まり、安価な手数料で投資できます。
自分のリスク許容度に合わせる
ハイリスクを許容できる人は株式比率を多めに、不安な人は債券を厚めにするなどで、自分に合ったバランスを探すことが重要です。
攻めと守りのどちらを重視するかで、投資比率を調整すると良いでしょう。


分散投資以外の選択肢はある?
「やっぱり集中投資のほうが効率いいのでは?」と思う人もいるでしょう。
集中投資には大きなリターンを得られる可能性があり、成功すれば短期間で大きく資産を増やせるのは事実です。
しかし、その成功を再現できる人はごくわずかになります。
著名な投資家の中には集中投資を実践している人もいますが、豊富な知識・経験・分析力・運を持ち合わせているからこそ可能なのです。
実際、多くのプロ投資家・年金基金・機関投資家でさえ分散投資を取り入れており、資産を安定的に守り育てる方法として、やはり分散は合理的だと言えるでしょう。
筆者の意見
分散投資に意味がないのではなく、分散投資は投資手段の一つにすぎません。
集中投資が向いている人が居ることも事実であり、今の投資スタイルで利益が出ているなら、無理に変える必要はないと思います。
これから投資を始める人には、最初は分散投資から始めて、集中投資でも大丈夫と思えるようになったら、集中投資を行って、結果しだいで続けるかを考えるのも手段です。
まとめ
「分散投資の意味がない」と感じる理由には、リターンの希薄化・市場全体の下落・過度な分散などがあります。
しかし、それは短期的・極端な視点によるものであり、長期的に見れば分散投資はリスクを抑えながら安定的に資産を育てる有効な手段です。
ポイントは「正しく分散すること」と「自分の投資目的に合った戦略を立てること」であり、他人の意見に流される必要はありません。
結論として、分散投資は「意味がない」のではなく、「正しく行えば意味がある」投資手法です。
リスクと向き合いながら着実に資産形成をしたい人にとって、欠かせない選択肢だと言えるでしょう。